「時を綾取り、時へ放す。」

職人インタビュー

職人インタビュー
「時を綾取り、時へ放す。」

色政野阪 和史Kazushi Nosaka

着色師。1987年高岡市生まれ。
専門学校卒業後、中華料理屋に就職。故郷の高岡市に戻り、家業である色政で着色師の道へ。2021年、四代目の代表取締役社長に就任。塗料を使用しない、伝統的な「発色」の技法に魅了され、職人としての技術修練と新色の開発に日々明け暮れている。
趣味は、子どもと遊ぶこと。2020年、YouTubeチャンネル「色政チャンネル」を開設し、着色の魅力を広める等、新たな取り組みも始めた。

HISTORYこれまで

昭和27年(1952年)に創業し、仕上げ工程のひとつ「着色」を世代を超えて生業としてきた「色政」。色政の得意とする手法は、経年変化がなせる美、時のうつろいの美を着色技法で表現する「古代色」。金属は時の流れとともに表面の色合いを少しずつ変化させる。経年変化を遂げた数百年前の作品に多くの人が味わいと魅力を感じる。色政は、特殊な溶液を塗ることで、金属そのものの表面を化学変化させ、何度もその作業を繰り返すことで酸化具合を調整する。色が剥がれにくく、保存性と美術性の高い手法を取ることで、色政の手に掛かれば、まるで数百年前に作られたような風合いが生み出される。和史の父である三代目の好照が職人になった1976年頃、高岡銅器は飛ぶように売れ、連日、沢山の色付け製品が工場に運び込まれてきていた。ただひたすらに大量かつ多様な製品たちと向き合いつづけ、色政の色付けの技術は、向上した。時が平成に変わり、和史のものごころがついた頃、高岡銅器産業は衰退の一途を辿っているところだった。分業制の高岡銅器において、着色屋は運び込まれてくる製品がないと仕事がない。もどかしさや、悔しさを抱えていたが、その分、一つ一つの作業に徹底的にこだわり、更に磨きをかけた着色の技術が今の色政を支える。「未来に残すべき過去の色がある」。色政の「色」は現社長和史に受け継がれ、これから先も守り受け継がれていく。

FUTUREこれから

四代目である和史は、無限に広がる色表現の可能性に魅了され、家業を継ぐことを決意した。高校卒業後、調理の世界に飛び込んだ和史は、調味料や食材の組み合わせで幾通りもの味が表現できる調理と、自由に色や質感を表現できる着色の世界には通ずるところがあると気づき、探求心がくすぐられた。
「味わい深く、アンティークな仕上がりにすることが得意」と語る和史。「着色にルールはない」、「着色の世界はいつも広く、チャレンジができる広いキャンパスが目の前に広がっているからおもしろい。」和史は、受け継がれてきた技術を大切に守りながらもチャレンジを大切にしている。
今後の目標は、職人をもう一人増やすこと。 謙虚な目標とも思えるが、その背景には、それぞれが技術を磨き、得意分野を活かすことで、製品開発を積極的に進めていき、受け継いできた技術をより多くの人に知ってもらうきっかけを作りたいという野望を秘めている。過去やルールに縛られず、誰もやったことのないことをしたい。2020年、和史は、YouTubeチャンネルを開設した。若い人に着色に興味をもってもらい、伝統や技術を伝えていきたいという思いで、着色の実演などを公開している。趣味は、子どもたちと遊ぶこと。休日に出かけると、ついついいろんな「色」を探してしまう。「この色は、どうやって作れるだろう」、「この色は自分だとこう表現するな」など、好奇心旺盛な和史の生み出す色が楽しみだ。


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